初心者でもできる!マーケティングのすすめ Part2

クジラ101マーケティングの基本の枠組みとして、「STP」という概念があります。フィリップ・コトラー博士が提唱したマーケティング戦略の基本的なフレームワークのことで、企業活動におけるマーケティングのファーストステップともいえるアプローチです。

まず市場を細分化(セグメンテーション)し、次にその中からフォーカスすべきターゲットを決定(ターゲティング)し、そしてターゲットセグメントに対して、ベネフィット(顧客にどう役に立つか)を明確にする(ポジショニング)。この3つのアクションの頭文字をとって「STP」と言います。 何だか横文字が並ぶと苦手だなぁと思われるかもしれませんが、決して難しくありませんので、もう少しお付き合いください。

さて、「STP」とはずばり何のことでしょうか。 コトラーはこれを「効果的に市場を開拓するためのマーケティング手法」といいます。より具体的にいえば、マーケティングの目的である「自社が誰に対してどのような価値を提供するのか」ということを明確にするために、この枠組みを活用します。

■STPとは?
・市場を細分化して(Segmentation)
・ターゲット層を抽出し(Targeting)
・ターゲット層に対する競争優位性を設定する(Positioning)

■Segmentation(セグメンテーション)とは?
まず、セグメント化とは、マーケティングの対象を市場全体とするのではなく、市場のある一部に絞り込むためのステップです。もちろん人類全てを顧客にしたいと考えるのは自由ですが、実際の市場では誰もが同じ商品を選ぶことはありません。結局マスからニッチへ市場を絞り込んでいかざるをえないのです。 そのため、さまざまな角度から市場を調査し、ユーザ層、購買層といった形で絞り込み、自社の顧客を明確化していきます。

セグメンテーションに用いられる変数として、「人口動態変数(Demographic Variables)」「地理的変数(Geographic Variables)」「心理的変数(Psychographic Variables)」「行動変数(Behavioral Variables)」の4つの指標が使用されます。いきなり難しいワードが出てきたと思われたかもしれませんが、あくまで定義の名称であって、内容はそう難解ではありません。

・「デモグラフィック(Demographic)」とは、年齢や性別、職業など属性的要因で区分します。
・「ジオグラフィック(Geographic)」は住んでいる場所など地理的要因で区分します。
・「サイコグラフィック(Psychographic)」は趣味や嗜好性などの心理的要因で区分します。
・「行動変数(Behavioral Variables)」は購買状況や使用頻度など顧客の行動によって区分します。

この4つの変数を用いて、市場における顧客のニーズごとにグループ化していくこと、つまり〝市場を細分化する″ことをセグメンテーションといいます。

■Targeting(ターゲティング)とは?
次に、ターゲティングとは、セグメント化した結果、自社の参入すべきセグメントを選定すること、すなわちターゲットを明確にすることを指します。 ターゲットの選定には、自社の強みを活かせたり、競合する他社がいないセグメント(「ブルーオーシャン」といいます)を選択することが重要となってきます。 初めてこの「ブルーオーシャン」というキーワードを聞いたとき、まさに大海を悠々と泳ぐ鯨をイメージしました。しかし、現実にこのセグメント「ブルーオーシャン」を見つけるのは、とても大変です。

さて、ターゲットの規模は一般的には市場全体の2割程度を目標におくと良いといわれています。しかし一方で、中小企業と大企業では、おのずからターゲット規模は違ってくるでしょうが、市場規模をメインに考えてしまってはうまくいきません。 あくまでも自社が提供できる価値と、顧客が求めるニーズがどこでマッチするか、という視点でセグメントを選定してください。

■Positioning(ポジショニング)とは?
最後のポジショニングは、「差別化」と似ていますが、違う概念です。差別化というのは、自社と他社の比較のことですが、それに対して、ここでいうポジショニングは、ターゲットの視点から見た自社の「優位性」のことです。

顧客にとって対価を支払ってもよいと思えるだけの価値や魅力があるのか、その観点でとらえなければなりません。言い換えれば、自社の特徴を顧客視点で捉え直し、「優位性」を提案することが大切なのです。

またポジショニングは市場全体に向けて提案するのではなく、あくまでもターゲット層にとってどうであるかが重要です。アプローチすべきターゲット層のどんなニーズを満たす必要があるか、また現状にどんな不満があるのかを事前にしっかりと把握しておかないと、訴求ポイントを見つけることが難しくなります。このポジショニングが不明確なままだと、その後のマーケティング施策がうまくフォーカスできず、失敗するかもしれません。ですので、「STP」の最終ステップであるこのポジショニングは、可能な限り明確化する必要があります。

いかがですか?横文字が並ぶと、敬遠しがちでしょうが、「STP」は決して難解なアプローチではありません。 会社を興すとき、新しい事業を開発するとき、新プロジェクトをスタートするとき、様々なシーンで活用してみてください。

現状では、ニーズが多様化したり、市場が複雑化している今、このマーケティングアプローチがどこまで有効かはわかりません。しかし、自社の顧客を考え、顧客の視点で自社の優位性を考える、というアプローチは、ビジネス上とても大事だと思いませんか? まずはプロジェクトメンバー全員で、マーケティングの基本を踏まえ、活発な議論をすることをお勧めします。そしてもしあなたが一人で事業を立ち上げて、そのような議論をするメンバーに恵まれていないならば、ぜひお気軽にご相談ください。 

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