起業家は、優れた経営者を真似するのではなく、自分との違いを学ぶべき

ビジネスマンであれば、リスペクトする経営者像をお持ちの方多いと思います。私も、失敗や壁にぶつかるたびに、松下幸之助や本田宗一郎の本を読み、彼らの生き方の中に何か解決策はないだろうかと、その内容の深さを日々の経営の中でずいぶん実感しました。 また、同時代にスティーブ・ジョブズという天才がいたことを、色んな意味で刺激を受けるたびに感謝したものです。こういった著名な経営者については、私よりも熱狂的なファンが多くいらっしゃるので、この辺にしておきます。

私とほぼ同年代か少し上の世代になりますが、第二次ベンチャーブームと言われる波があり、優れたベンチャー企業が頭角を現しました。ソフトバンクやCCC、HISが今でも有名ですが、90年代のITバブルと相まって、今では考えられないずいぶん派手なビジネス展開を目の当たりにしたものです。

私は、ちょうどこの世代の経営者に学びたいと思って、某上場企業の経営企画室に転職したことがあります。この企業の社長は、大学生の時にすでに会社の前身を設立し、一代で上場まで果たした有名な経営者です。仕事の内容は、経営企画室というとかっこいいのですが、有体に言うと社長のかばん持ちに近く、国内外様々な企業とのコラボ、M&Aにかかわるマーケティング担当でした。そして、私の思惑としては、様々なビジネス上の駆け引きを傍らで見て、その手法を学ぼうという訳です。しかし、これは経営者としての核となる部分はどうしても無理でした。

なぜ無理かというと、その社長のアンテナの張り方や独特の嗅覚、決断力は、他人が身につけようと思っても身につかないからです。その人自身に備わった人格、考え方、人脈の作り方、魅力すべてが相まって、経営者としての実力を発揮していました。そして私といえば、その周辺をなぞることができても、同じことをしようとしても決して実現できないか、実現できても成功するとは思えないという結論に達しました。

しかし、この時期ずいぶんたくさんのことを学ばせていただきました。私が特に勉強になったと実感したのは、優れた経営者がどういう勝負を賭けて、どういう負け方をして、そこからどう学んでいくかという点です。以前に構造的な思考力についてコメントしましたが、私の上司の盟友は、当時のITビジネスを構造的に構築するためにM&Aを仕掛け、600億をドブに捨てました。しかし、潔く撤退したかと思えば、違った角度から新たなビジネスモデルを描いて実行し成功しています。核となるコアコンピタンスに基づいてしっかりとした戦略があればこそであり、戦術を変えることにより見事に成功した事例でした。ただし、傍で見ているとエキサイティングでも、その方の部下の執行役員の数人と交流がありましたが、ついていくのは本当に大変だったと思います。

さて、表題にある通り優れた経営者の真似をしても、成功するとは思えないというのが私の意見です。しかし、考え方やアプローチを学び、自分との違いを明確にすることで、自分なりの経営スタイルが少しづつ身についていくのではないかと思うのです。偉そうに語っていますが、私自身も経営者として、日々学んでいる途中です。

起業家の皆さん、もし一人で悩んでいるのでしたら、ぜひお気軽にお問合せください。私がその課題に対して、一緒に悩み、解決できるようお手伝いいたします。

コメントを残す

サブコンテンツ

このページの先頭へ