企業が行政書士に依頼できる国際業務は幅広くあります

7月行政書士が取り扱う業務は、とても守備範囲が広くてすべてを網羅することは難しいのですが、そんな中でもとりわけ国際業務は、専門家として幅広く対応することができます。本日は、この国際業務に焦点を当てて、どのような仕事を依頼できるか、簡潔にご紹介いたします。

さて、一般的に行政書士が国際業務を取り扱う場合、入局管理局に対する在留資格の申請取次業務が一般的なイメージではないでしょうか。日本から海外へ、または海外から日本へ、出入国管理業務にかかる法的アドバイスと各種取次申請業務があります。しかし、これ以外にも、企業が国際的なビジネスを展開する場合、様々な国際業務が存在します。福岡市は特に「グローバル創業・雇用創出特区」に選ばれていることから、これから新たな事業を展開するにあたり、様々なチャンスがあると同時に、海外ならではの課題や難しさに直面することも想定されます。

私ごとではありますが、以前ソフトウェア開発を行う企業の経営戦略担当をしていたときに、代表取締役の肝煎りでベトナムでのオフショア開発及びテスト体制の構築にトライしたことがあります。実は、歴史的政治的な問題から当時のベトナムはシリコンバレーにいた人材がUターンするケースが多くあり、アジアの中でも特にソフトウェア開発やアプリ開発のレベルが高いのと、ホーチミン市を始め自治体レベルで海外企業の誘致を盛んに行っていたからです。結論から申し上げると、プロジェクトは失敗でした。なぜかと言うと、技術的なレベルの問題ではなく、コミュニケーション上の問題が山積し、オペレーション体制を作り上げるのに教育も含めて想定外の費用が発生し、期待した成果が得られなかったからです。そもそもコスト削減を目指して立ち上げたのですから、まさに本末転倒の結果でした。当時は、日本の名だたるメーカ数社がほぼ同時期にベトナム進出していましたが、その後はどうなんでしょうかね。

さて、観光のインバウンドだけでなく、最近福岡からアジア各都市へ進出する会社のお話を聞くことがあります。過去に痛い目にあった企業は、アジア進出と聞くと私同様にちょっと躊躇してしまうこともあるでしょう。しかし、数々の失敗を乗り越えてこそ、成功への道筋は生まれてくるはずですから、そのような依頼を受ける機会があれば、ぜひ応援していきたいと思っています。

また、前置きが長くなりましたが、行政書士に依頼できる国際業務は下記です。

■国際法務
日本国内及び諸外国における会社設立など、日本での「ヒト、モノ、カネ」に係る法務全般の事務処理を代行します。例えば、在日公館への渡航査証の申請代理や、諸外国に進出する際の現地当該国の法務調査、各種公文書の認証手続きの代理申請などがあります。

■国際商務
日本および諸外国でのグローバルな多国籍企業のビジネス展開に必要な諸手続きの法的アドバイスを実施します。また各種商務契約書の作成および事務処理代理業務を引き受けます。

■国際財務
日本および諸外国でのグローバルな財務、会計処理および関連諸手続きの法的アドバイスや事務処理代理業務を実施します。

■国際物流
日本および諸外国間の物流、貿易実務、配船手配などの代行、代理店業務を実施します。

■国際交流
日本の地方都市と諸外国の地方都市との、姉妹契約などの公的契約指導、作成代理、および契約締結に係る国際法的アドバイスを実施します。

かなり幅広いのですが、例えば国際財務は基礎となる財務会計の知識経験が必要ですし、商務契約書は相手によって翻訳作業が発生することもあり、それぞれ高い専門性や、他の専門家とのパートナーシップが要求されることもあります。いづれにしろ、海外進出をお考えの際は、身近な行政書士に相談してみると良いと思います。その際は、国際業務を専門にしている方に依頼すべきなので、行政書士会が認定する「申請取次行政書士」という資格があるか確認してから依頼しましょう。

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