資本政策と創業者利益について~資金調達Part.1
今月から新たに「資金調達」という切り口で、情報発信したいと思います。 エクイティファイナンスだけでなく、デットファイナンスや補助金など、出来る限り多岐にわたって取り上げようと思っています。ぼちぼちしか進まないかも知れませんが、ご興味があれば時々チェックしてください。
私はこれまで2度の創業を経験していますが、2度とも苦労したのが資本政策です。そこで、第一回目のテーマは、資本政策にしました。皆さんはこの言葉をご存知でしたか? 経営者もしくは経営者を支えるような業務に就かない限り、あまり縁のない言葉かも知れません。資本政策とは、現状をスタートとして、EXIT(出口)までの資本構成がどのように推移していくのかのシミュレーションを行い、最適な資本戦略を組み立てることで、会社の経営権と密接な関係にあります。
もしある企業が将来外資(外部の株主)を入れる可能性がある場合、資本政策は慎重に検討する必要があります。しかもこの資本政策は、一度決定して進むと後戻りができないという厄介な性質を持っています。そこで本日は、創業者もしくは経営者の立場で、資本政策の基本的な考え方について、私の経験からコメントしてみます。
まずは、着手した時の現状の出資割合について考えてみましょう。会社を立ち上げる際には、必ず発起人がいますが、この発起人がそのまま創業者なのか、その後の経営のボードメンバーとしてコミットするのかは、それぞれの会社の事業次第でしょう。いづれにしても、経営者が資本政策を組み立てる最初のポイントは下記のような項目になるのではないでしょうか。
<ポイント①>
・創業期の発起人、経営陣の株式保有状況
・初期メンバーや今のパートナーの継続性
・ボードや社員にどのレベルでどんな方法で報いるか(潜在株と言う手段もあり)
・上記のメンバーの貢献度、期待値を考慮
そして、次に検討すべきなのは、時間軸における資金調達額の目安です。これに関しては、5ヵ年程度の事業計画書を策定して、PLとともにキャッシュポジションを把握することも大事です。
<ポイント②>
・どのタイミングでいくらの資金調達をすべきか、ラウンド(時期)を分けて検討する
・将来の資金調達ニーズを事業計画を基に可能な限り具体的にイメージする
・将来のイグジット(出口戦略)をタイミング含め想定してみる
さらに重要なのは、経営陣の持株比率と経営権の問題です。 ここでいう経営陣には、必ずしもボードメンバーだけでなく、事業会社などの安定株主を入れて想定できるケースもあるでしょう。
<ポイント③>
・経営権を安定的に保持出来る議決権の確保が望ましい
目安は、2/3,1/2,1/3の3つのレベルを検討
・株価を算出することで、会社の価値と、必要資金額とのバランスを検討する(これは財務のプロの力を借りましょう)
・出口戦略として、IPOかバイアウト(M&AによるEXIT)かにより、考え方がかわる
もしM&Aなら、経営陣の持ち株比率より、企業価値全体を上げることに注力する方が賢明
外部からエクイティファイナンスで調達資金が増えると、必然的に経営陣の持ち株比率は下がり、この両者はトレードオフの関係にあります。そこで、場合によっては、デットファイナンスを活用しながら、バランスを取るという方法も考えられるでしょう。
いづれにしても、経験しないとなかなか実感できない部分あるとは思いますし、資本政策におそらく正解はなく、それぞれの会社の状況によって、最適と考えられる方法を検討していくほかありません。
以上、経営者であれば最初に検討すべき考え方についてでした。下記のHPにも少し情報がありますので、ご興味あればご参照ください。
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