今の深圳を知らなきゃマジやばいって!!~part.2
前回に引き続き、深圳を中心とする中国企業のイノベーションの実態についてご報告です。今回は、おそらく世界初の急成長を遂げている都市”深圳”の今を、企業の特徴を分析した内容からアプローチしたものです。
船井総研の上席コンサルタントの斉藤氏が登壇されたイベントのセッションからの引用で、世界的に注目され大成功を収めている中国企業5社について、それぞれの特徴と日本企業との違いをピックアップしました。
■アリババでの気づき(検索エンジン)
①評価は、業績+価値観
・アリババの価値観=「六脈の神剣」を重視
・通常のインターネット企業との違い
②インターネット+金融に注力
・小銭を預けると利息がつくサービス「余額宝」
・アリババローン(金利:15%vs6.7%)
③ゴマ信用が社会インフラに
・ポイントが高いと優遇(無担保で借入れ)
・中国政府がビザ発行の条件に
■テンセントでの気づき(SNS)
①社内競争文化
・社内で127のチームがしのぎを削っている
・純利益の20%から30%がボーナスとして分配
・「余剰の価値」で長期的なタネ撒き
②時流適応
・「豚もトレンドに乗れば空を飛べる」
・小さいチームであれば、変化に柔軟に対応可能
③ニューリテール
・テンセントとアリババの戦い
・オンラインとオフラインのビジネスの争奪であり、エコシステムの競争
■BYDでの気づき(電気自動車)
①中国2大社会問題の解決
・環境汚染
・渋滞問題
②競合と土俵を変える
・一回り大きなコンセプト
・「電気自動車メーカーではなく、クリーン・ソリューション・プロバイダー」
・業界をひっくり返す
■モバイクでの気づき(シェアサイクル)
①国家の課題を解決するビジネス
・渋滞の緩和
・環境負荷の軽減(ガソリンの節約、CO2削減)
・人々の生活行動範囲の拡大
・公共交通機関の盲点をカバー
・不動産価格の変動
②IoT×ビックデータ=最適化
・自転車の位置情報(ビックデータ)を収集
・ビックデータを活用して正確な判断(どの場所に何台の自転車を置けばよいか)
・効率的でムダのないスマートな社会を実現
■ファーウェイでの気づき(通信機器)
①売上の10%を研究開発投資
・業績が良い時も悪い時も
・これができるのは非上場だから
②従業員持ち株制度
・CEOが1.3%,98.7%は従業員
・従業員の利益と会社の利益を一致させる
・高い所得→会社の株購入→会社が投資
深圳・上海視察で気づいたことのまとめ
①国家的課題を解決するビジネスが成長
②最新テクノロジーで産業を転換し、社会システムを作り変えようとしている
③人間性の高い優秀な若い経営者が台頭
④超スピード重視
⑤良い意味での”雑さ”(失敗→試行錯誤)
⑥大規模な「実験の場」
いかがでしょうか。このセッションを聞くまでは、アリババのゴマ信用が社会的な地位の尺度になっていることや、モバイクなどのシェアサイクル事業が環境問題解決への道であることなどが、興味の対象でした。しかし、私が大変驚いたとともに脅威を感じたのは、特に下記の2社の取組みでした。
①テンセントの社内競争文化
127ものチームが競争し、チームが勝てば億単位のインセンティブも夢ではなく、社内でガチで本気の競争をしていること。
②ファーウェイが売り上げの10%を研究開発投資
これは、9兆円の売上に対し、実に9000億円もの年間投資をしており、世界的に類を見ない規模である点。
最後に、具体的な数字をもってご報告です。私が最も驚いたのは、深圳で最も注目を集めるスタートアップ企業で、26歳社長が率いる“Insta360”の急成長ぶりです。わずか4年で年商30億を超え、社員数200名というスピードです。ほぼ同時期に設立された有望な日本のスタートアップ企業の成長と比べてみて、この差に愕然としました。
恐るべし、中国。そして華僑の人々。
こんなに近くにあるのだから、すぐにでも行きたいと、ブログを書きながら思いましたが・・・仕事来ないかな(笑
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