ちょっと待った!外国人を雇用する前に経営者が知るべきこと
日本における外国人の管理体制には、大きく二つの法律によって決められています。まずは「国籍法」で、日本人と外国人を定義しています。次いで「出入国管理法及び難民認定法」で、上陸許可(受け入れ)か、上陸拒否(排除)かが決まります。では、審査すべき上陸許可基準にはどのようなものがあるのでしょうか? 法律用語ではなく、出来るだけわかりやすい表現でピックアップしてみましょう。
■上陸許可の条件
①旅券、査証が有効であること
②申請する日本での活動が虚偽のものではないこと
③在留資格に該当すること
④法務省令の基準に適合すること
⑤在留期間が法務省令の範囲内であること
⑥上陸拒否事由に該当しないこと
⑦個人識別情報(指紋)を提供すること
申請者は、自らの立証責任を負っていますので、在留資格により事前に在留資格認定証明書を申請して交付してもらい、査証を自国で発行してもらう必要があります。この一連の手続きに関して、行政書士の役割があるのです。
さて、無事入国した外国人は、短期滞在を除く90日以上の在留資格を持つ場合、必ず在留カードを24時間携帯することになります。就労制限の有無や資格外活動の有無、在留期間の更新など、資格に関するすべての情報が一覧できるものです。また、現在は外国人にも住民票が発行されますが、市町村区で発行してもらう時には、省略しない住民票を取得してもらいましょう。個人情報にあたるため、市町村側は指示しないと在留カードの番号や在留期間、通称などの情報が省かれら住民票を出すことになります。後々のトラブル予防のためにも、契約の際に住民票でしっかり確認することも大事です。
また、在留資格には、大きく分けると27種類ありますが、それぞれ詳細に条件や滞在期間などが法定されています。特に注意が必要なのが、資格外活動についてです。例えば、以下の事例については法律で制限されているので、雇用主として知らず知らずのうちに法律に抵触しないように、意識していただければと思います。
■資格外活動許可がいらないケース
・「経営・管理」の資格で、業務に関連して講演を実施し謝礼をもらう
・「技術・人文・国際」の資格で、夜間大学に勉強のため通学する
・永住者や日本人の配偶者などが就労する
・「留学」で大学で学ぶ者が、大学との契約で教育補助の活動をして報酬をもらう
■資格外活動許可を申請しなくてはならないケース
・「留学」の資格外活動で就労が認められるのは、週28時間まで可能となる
・「技術・人文・国際」の資格で、大学で関連する内容の講義をする
・「技術・人文・国際」の資格で英語教師をする者が、公立小学校で週に1日英語教師をする
平成27年の改正では、「留学」について、小中学生を受け入れる基準が追加されました。少子高齢化の波が如実に反映されているようです。また、悲しい事件が相次ぐ介護業界においても、深刻な人手不足に対応するため、規制緩和される方向にあります。 日本人同士でさえ、労働環境を守ることが難しくなっている今、果たして今後の企業の労働環境はどうなっていくのでしょうか? 単に「ストレスチェック」などの制度だけ取り入れても、決して根本的な問題は解決しないのでは、と危惧してしてしまいますね。
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