明日からの経営に役立つ!会社法を学ぼう Part 19
前回の続きである「株主総会」に関する内容を予定していましたが、ちょうど今週参加した勉強会で、昨年改正された商業登記規則に伴って「株主リスト」などの実務のお話を伺ったので、その関連でコメントします。
行政書士の実務としては直接関連しませんが、昨年の10月1日以降の登記より、新たな申請の際に「株主リスト」の提出が義務化されました。この「株主リスト」とは、未上場や小さな規模では関係無さそうに思えるかもしれませんが、持分会社以外の全ての株式会社が対象となります。
「株主リスト」とは、会社法で定義されている「株主名簿」とは記載事項に若干の違いがあります。それは、目的や使われ方の違いによるものでしょうが、これまでそもそも全ての株式会社は、「株主名簿」を作成し保管する義務があります。 そこで、この2つの違いを簡単にまとめてみました。
■株主名簿
定義:株主とその持株等に関する事項を明らかにするため、株式会社に作成が義務付けられているもの
目的:株主の権利を行使できる株主の特定
対象株主:全ての株主
使用場面:会社の本店に据置、閲覧や謄写請求時に発行する
閲覧請求者:株主、債権者、親会社の社員等
その他:会社は基準日を設け、その日の時点での株主名簿上の株主を権利行使者とする
■株主リスト
定義:登記申請の際に提出する株主の一覧
目的:登記の真実性を確保すること
対象株主:議決権の多い上位10名、もしくは議決権の多い順に順次加算した割合が3分の2に達するまでの人数、いづれかの少ない人数の株主
使用場面:登記申請として株主総会議事録を提出するケース(定款変更、取締役の変更など)
その他:自己株式は含まない
次に記載事項の違いを見てみましょう。ある程度流用できますが、やはり別個作成することになりますね。
■株主名簿
・株主の氏名・名称および住所
・保有する株式の数、種類
・株式を取得した日
・株券発行会社はその番号
■株主リスト
・株主の氏名・名称および住所(番地まで記載)
・株式の数
・議決権の数
・議決権割合
実際の運用としては、「株主名簿」は、経営管理部門長或いは代表取締役等が保管し、株主からの請求があれば、代表者印を押印するなどして証明書として発行します。株主が上場企業などであれば、毎年請求されるケースもありましたし、第三者割当増資を実行する場面などでも必要となります。
それに対して「株主リスト」は、登記申請の流れの中で必要となるので、株主総会が実施される場面で発行することになります。もし、経営者に対してコンサルタント的な役割を果たす士業の方であれば、この2つの違いはある程度把握しておいた方が良さそうですね。
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