明日からの経営に役立つ!会社法を学ぼう Part 15

1月募集株式の発行と同様に、資金調達の手段の一つとして活用できる方法として、「新株予約権」があります。「新株予約権」は通常ストックオプションと呼ばれ、特に未公開会社にとっては様々な目的や効果が得られる方法ですので、ぜひ知識として学びましょう。

さて、「新株予約権」とは、新株予約権者(新株予約権を有する権利者)が、予め定められた期間内に、予め定められた価額を当該株式会社に払い込めば、会社から一定数の当該株式会社の株式の発行を受けられる権利のことを言います。またこの「新株予約権」の発行は、有償で行われる場合と、対価の払込みをせずに無償で行われることもあります。

「新株予約権」が行使されると株式が交付されることになるので、潜在的な募集株式の発行等であり、潜在株と呼ばれることもあります。当該株式会社の株式の時価が上昇すればするほど、新株予約権者は利益を得ることになることから、様々なケースで活用されています。

さて、ではどのようなケースがあるか、主にベンチャー企業で代表的なものを挙げてみましょう。
①取締役・使用人に付与するストックオプション
②社債発行とともにする新株予約権付社債として発行する
③現金支出に代えて取引先などへ発行する
④敵対的企業買収に対する平時導入型防衛策
⑤取得請求権付株式の取得対価等として交付する

ニュースなどでアメリカにおける④のケースを”ポイズン・ピル”とか、”ライツ・プラン”などと表現されたものをご覧になったことがあるでしょう。会社法の改定によって、③④⑤とかなり活用の幅が広がりましたが、やはり今でも①のインセンティブとして活用するケースが多いと思います。

次に発行に際し、権利内容を定めなくてはなりませんので、主なものを挙げておきます。
①当該新株予約権の目的である株式の数またはその数の算定方法
②当該新株予約権の権利行使価額またはその算定方法
③金銭以外の財産を当該新株予約権の行使に対してなす出資の目的とする場合はその旨、内容、価額
④行使期間
⑤当該新株予約権の行使により株式を発行する場合に増加する資本金・資本準備金に関する事項
⑥譲渡制限新株予約権にする場合はその旨
⑦当該新株予約権に取得条項を付す場合には取得事由等
その他、吸収合併、株式の端数、証券発行などについても必要があれば定めます。

なお、新株予約権の重要事項については、登記をする必要があります。また、新株予約権の発行が有利発行に当たる場合は、株主総会の特別決議が必要となりますので、導入時期や株主のバランスには特に注意が必要です。

次回は、新株予約権発行の具体的な発行手続きや特徴などについて、コメントします。

コメントを残す

サブコンテンツ

このページの先頭へ