明日からの経営に役立つ!会社法を学ぼう Part 1

A-17私はこれまでの経験を活かし事業化コンサルタントを仕事にしていますが、そのためには会社法の正しい知識や実務が必須となります。実際に経営者として働いていた頃も、顧問弁護士に支援してもらいながら、会社法をずいぶん勉強したものです。今では、行政書士の資格を取得することにより、更に会社法について研鑽を重ねているところです。

そこで、これから会社を立ち上げようとしている起業家の方や経営者にとって、会社経営における重要な会社法の知識について、法律の勉強をしていない方でも理解できるように情報発信していこうと思います。 少しづつレベルアップしていきますので、興味のある方はこれからぜひ継続してチェックしてみてください。

さて、初回は「合同会社」です。 株式会社については、いろんなサイトに情報があふれているので、今回はまだまだ一般的な認知度が低く新しい制度である「合同会社」について、実際のメリット、デメリットについてコメントします。合同会社と言えば、やはり2011年にAPPLEが移行したことで、ニュースになったのが記憶に新しいでしょう。実は、2011年から2015年にかけて、240%もの驚異的な増え方をしていまして、2015年には、22,053社もの合同会社が設立されました。

<株式会社と同じ点>
■設立について
一人以上であれば、1円から金銭やその他の財産を出資することにより、スタートできます。これについては、株式会社と同じですね。

■出資の責任について
間接有限責任といって、出資した額を上限として責任を負い、会社自体の債務については直接責任を負いません。これも株式会社と同じです。

<メリット>
■設立費用が安い
新設の場合は、登録免許税6万円+印紙代(4万円だが、電子定款の場合は不要)という費用で、株式会社の登録免許税15万円+定款認証費用5万円+印紙代(同じく電子定款の場合は不要)に比べると、1/3以下で済むという手軽さが一番の魅力でしょう。

■機関設計(組織)の作り方
株式会社は、株主総会と取締役の設置が必須ですが、合同会社には制約が一切ありません。特に株式会社では、株主総会の運営はかなり重要になるのですが、合同会社では株主総会を開く必要がなく、小規模でも大規模でも、大変柔軟に組織を運営できます。

■ランニングコスト
決算報告義務がありませんので、株主向けの決算報告の資料作成作業などが省略できます。 とは言え、実務上では実際の報告は必要でしょうが、簡潔に出来ると思います。また、株式会社のように官報などへの公告の必要もないので、コストが削減できます。

■配当が柔軟にできる
株式会社と違い、出資比率に応じて配分するという決まりがありませんので、柔軟に設計できます。例えば、会社の業績への貢献度に応じて配当するなども可能となります。

<デメリット>
■認知度および信用度
株式会社に比べると、まだまだ認知度は低く、社会的信用も低いと言わざるをえません。支払い能力があるか、など警戒されるケースがありますし、取引先が一部上場などの大手だった場合、取引口座を開いてもらえない、などのケースが想定されます。

■役員の肩書
株式会社は1名以上の取締役が必要で、取締役会の代表は代表取締役となります。それに対し、合同会社の代表は「代表社員」となります。これは意外と知られていないのですが、「代表取締役」という肩書は使えません。

最後に、どういうケースが「合同会社」に向いているか、私の私見ですが参考までに想定してみます。
・資金が少ない
・IPO(株式上場)の可能性がない
・知名度や信用度のある会社が子会社を設立する
・個人事業主が法人化する
・新規性のあるイメージを打ち出したい

いかがでしょうか? 実はメリットとしては、資金調達についてもあります。”少人数私募債”という制度を利用して、金融機関ではない知人や取引先から資金を調達し、それほど煩雑にならずに運営する方法もあるのです。これは、また別の機会にご紹介します。

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