初心者向けテクニック。名刺交換の次はNDA締結しましょう。

握手104「NDA」をご存知でしょうか? 英語の” ノンディスクロージャーアグリーメント”の略称で、正式な日本語では”機密保持契約”とか”守秘義務契約”とか言うのですが、通常は面倒なので”エヌディーエー”と言います。

私は長くIT企業にいましたので、初めてお会いする企業の担当者の方と名刺交換して交渉をスタートする場合、実際の事業内容を公開したりされたりする前に、必ずNDAを締結していました。つまりは、名刺交換の後には「NDA」が慣行となっており、これは一部上場や公開企業になるとさらに当たり前のように、先方の担当者や法務部とやり取りをします。

さて、まだ福岡に戻ってそれほど多くの企業とやり取りしていませんし、行政書士としてお会いする時には法律で守秘義務を負っているので、「NDA」のやり取りは稀です。 しかし、企業担当者の機密保持に対する意識がやや低いのでは、と思うことがしばしばあります。たとえIT企業でなくても、機密にすべき情報は必ずあるはずですから、「NDA」締結については、社内での徹底も含めきちんと準備しておくことが大事です。

「NDA」の種類としては、一般的には2パターンでしょう。片方開示型と双方開示型で、片方は言葉の字義通り1社の企業情報のみを公開して何らかの協業を行うケースであり、双方は両社の企業情報を公開して協業にのぞむケースです。WEBにもおそらく一般的な雛形のテンプレートが見つかるかも知れませんが、大事な御社の情報を守るものですから、事業内容に合わせて作成されることをお勧めします。

ところで、スタートアップの企業や、中堅、中小企業では、社内に法務部を置くことは稀であり、あったとしても法律の専門家というより社内から向いている人材を充てるなどの方法が多いのではないでしょうか。そうであれば、いざ「NDA」締結となった場合、先方の雛形を受け取って、それをベースに検討、修正を加えるというパターンが多いかもしれません。 しかし、これには私は賛成しかねます。

通常企業で作成する契約書の雛形というのは、丁寧に自社に有利なように作成されており、法律の素人が一見してみてもわからないことが多いのです。たかが「NDA」であっても、機密保持の縛りが大変厳しくなっていたり、期間が長すぎたりと、細かい点を指摘すれば切りがありません。ですので、可能な限り、先方の雛形を受け取るべきではないのです。

つまり、先方の雛形をいちいちリーガルチェックするとなると、私のような法律の専門家であっても、多少時間がかかります。そうでなくて、自社の雛形を作成して、それを相手企業の法務部や法務担当にリーガルチェックしてもらうのです。 会社の事業展開などに応じて、1,2種類のNDA雛形を作成しておけば、後はそれを使いまわすだけなので、法務に充てる時間が節約できます。

私が大手企業と取引する際の方法は、「弊社は法務部を置く余裕のない会社ですので、どうか弊社の雛形をベースにご検討いただけませんでしょうか?」というお願いの仕方でした。力関係が明らかに違う場合でも、割と応じていただけていたと思います。「NDA」程度ならそれほど大変ではありませんが、これが開発契約や業務委託契約、投資契約となると、締結までにかなりの時間を要します。

各種契約にお困りでしたら、ぜひ会社法に精通する弊社まで、お気軽にお問合せ下さい。

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