AIの可能性~イノベーションの成功の秘訣Part 6
「Deep learning」(ディープラーニング)という言葉を聞いたことがありますか? 最近AIが特に重要視されてきたのは、この「Deep learning」つまり深層学習がきっかけとなって、一気にビジネスのトレンドに躍り出てきたといっても過言ではありません。 今やAIの導入で未来が大きく変革していくことは誰もが認識しつつあることでしょう。しかし、今のAIと言われるものの中には、到底ビジネスとしてはお粗末なものも含まれる玉石混交の状態であり、少なからず自社へ取り入れることを検討されるのであれば、十分な見極めが必要と思います。
実は私は、2006年から本格的にAI技術を研究開発してビジネス化することに取り組んできました。当時は本当に限られた研究者や企業しかこの分野に進出しておらず、ビジネスとして実用化するまでには本当に高い技術の壁を乗り越えなければなりませんでした。 あまり専門的な技術の話をしてもピンとこないと思いますが、当時取り組んでいたのは”ニューラルネットワーク”と”SVM”と呼ばれる技術です。平たく言うと、人間の脳の働きを模した仕組みと、機械学習と呼ばれるパターン認識の方法で、今の「Deep learning」のベースにもなっている技術です。当時は、いわゆる特徴を抽出する機能を人間がルールに介入していたので、その精度やスピードに課題がありました。しかし、この特徴を抽出する作業を機械によって実現したのが、深層学習と言われる今のトレンドの技術です。
この深層学習は一言で言うと、子供が様々な経験をすることによって少しづつ学習していく方法と同じようなものです。例えばコンピューターが猫を認識するために、テキストや画像から様々な学習を積み重ねて特徴を抽出し、最終的な判断に導くといった方法です。
AIについてきっと皆さんが新聞等で目にしてきたのは、将棋や囲碁、クイズ王などでAIが人間に勝利したとか、白血病の発見に役立ったというものではないでしょうか? これはまさに、膨大なデータの中から機械学習するというAIが最も得意とする分野になります。今後も人間では不可能な膨大なデータ、つまりビックデータから特徴を抽出して様々な解決をしていくという分野では、AIの活躍が見込まれます。これをビジネスとして捉えた場合、膨大なデータの中から特定の解決策や画像などを抽出したりできるので、医療、介護、認証、セキュリティ、エンタテインメントなど、幅広い分野で導入されていくと思われます。
一方で、汎用性の高いAIの開発もGoogleなどが中心となって進んでいます。しかしこの分野は現時点では、まだまだ完成には至っていないことは、皆さんも体験されていることでしょう。さらに、AIに感情を持たせる試みなどもあり、コミュニケーション機能が今後高まれば、これも個人向けの様々なサービスに導入されていくと予想されます。現段階ではまだまだ販売促進の現場で試されているレベルにしか至っていないと思われますが、この技術が完成度を高めていけば、いわゆるSFの世界で描かれてきた人工知能に本当に近づいていくことでしょう。
以上のAI技術は、成長したり機械学習したりと頭脳派のAI技術でありそのソフトウェアについてですが、その他にも自動運転をはじめとする機械によって動くタイプのAIや、工場内の作業をする作業型AIなども、今後さらに進化していくと思われます。
さて最後に、現時点でAIが最も苦手とする分野は、何だと思いますか? 実は、自分で目標を定めたり、新しいデザインを考えたり、初めての事態に即時対処したりといったことは、苦手なんです。人間であれば当然と思われることかも知れませんが、まだまだAIの世界では実現できそうにありません。しかしだからこそ、人間が活躍できる場がまだまだ沢山あって、人間とAIがうまく共存することによる未来の可能性について、私自身は確信をもっています。
タグ:AI, Deep learning, ビックデータ, 深層学習
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