IT導入を考える~イノベーションの成功の秘訣Part 5

207事業計画を策定する上で、まず最初に取り組むべきステップとしては、ビジネスモデルを構築することです。 そしてこのビジネスモデルを簡潔に説明すると、利益を生み出すための商品やサービスの事業戦略や収益構造を定義することと言えるでしょう。 これまでは、自社のあるべき姿を踏まえて、そこに至るシナリオを策定する方法で検討することが一般的な方法でしょう。 しかし、昨今の急激なビジネス環境の変化を前提とすると、従来のアプローチで臨んで果たしてうまく機能するでしょうか? 本日はこの点について、思考する際のヒントとなるIT導入についてコメントしたいと思います。

■ビジネスモデルのアプローチ
①誰に、どんな価値を提供するか
②その価値をどのように提供するか
③提供するにあたって必要な経営資源をどのようにして集めるか
④提供した価値に対してどのような収益モデルで対価を得るか

上記を考えるにあたり、ビジネスドメイン(ビジネス領域)をまず設定する必要がありますが、この領域におけるこれまでの常識が驚くほどのスピードで変化しつつあるのです。おそらく既存のビジネス延長線上にあるビジネスモデルだけを追求していては、近いうちに通用しないビジネスになるのではないでしょうか。 では、一体どうすれば良いのでしょう。 おそらくビジネスモデルによって検討するポイントは変わるでしょうが、やはりITによる新たなビジネスの流れが、重要な切り口になることは言うまでは有りません。

■ITにおける重要なトレンド
①クラウド
ITに関わる多くの資源が、クラウド・サービスとして提供されています。 そしてこのクラウドならではの所有しない使い方を前提としたシステムとの関わりから、ビジネスモデルを検討する必要があります。 これまでのサーバーやネットワーク機器に対する投資に変えて、クラウドのAPIを活用すると言った方法で、最新のテクノロジーをいち早くビジネスに取り込むことが可能になったのです。 わかりやすい例で言うと、IBM等の人工知能のシステムであるコグニティブサービスを、今や手軽に企業が導入することができるようになりました。

②IoT
あらゆるデバイス(モノ)が直接インターネットにつながることが可能になってきたことで、現実世界はリアルタイムにデジタルで捉えられるようになってきました。この仕組みが、ビジネスモデルやビジネスプロセスをくみ上げてきた既存の常識を大きく変えることになります。自社にとってIoTをビジネスとして捉えようとするとき、このビジネス・モデルやビジネス・プロセスの変革にどのように貢献するかという視点が大切です。IoTをテクノロジーとしてのみ捉えてしまえば、一時的に利益を得ることができても、進化の時計がますます加速する今の時代にあっては、その大衆化もまた急速な勢いで迫ってくるでしょう。むしろ、一般大衆化されることを武器にして低コストとスピードでビジネスプロセスを変革することに自社のビジネス価値を見出すことが大切になるのではないでしょうか。
また、デジタル世界は、地理的にも時間的制約からも解放され、自由につながり、融合することができます。その新しい組合せを簡単に試してみることができるようになったことで、IoTの生みだす新たなデジタル世界の可能性が大きくなりつつあります。

③サイバーセキュリティ
クラウドの発展により、セキュリティやコーポレートガバナンスの常識が大きく変わりつつあります。これまでのように自社システムを自社の管理下で物理的に設置し、それを取り囲むように壁を張り巡らせ、自社と外部の境界を守るセキュリティはもう成り立ちません。 クラウドもIoTによって、守るのは物理的なシステムそのものではなく、データやプロセスを守るという発想への転換が大切になります。また、管理する対象が膨大な数となれば、ログの中から攻撃、痕跡、リスクを見つけ出すための作業は膨大なものとなります。もはや人的資源のみでは不可能であり、システムの自動化や自律化といった新たな仕組みが必要になるでしょう。また、セキュリティを技術問題としてではなく、ビジネス・プロセスやアプリケーション自体にセキュリティ機能を強化して作ることまで含め、アーキテクチャー全体を考えたセキュリティが重要になります。

このようなテクノロジーのトレンドに向き合うことが、ビジネスの創出と発展につながります。しかし、そのことは同時に既存のビジネスの破壊につながりかねないことも認識しなくてはなりません。これまで自分たちのビジネスを支えてきた経営基盤が破壊される可能性を覚悟しなければならないのです。しかし、もしいずれ破壊されるのであれば、そこに関わらないことの方がむしろリスクだとは思いませんか? それを自ら破壊することで、新たなビジネスの創出にチャレンジすることこそ、生き残りをかけた大きなチャンスとなるでしょう。 そしてもし御社がIT導入でお悩みなら、ぜひ気軽にお問合せ下さい。

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