AIがビジネスにもたらす未来~『ディープラーニング』の今

7月、8月と、AIの有識者のセミナーに複数参加して、様々な知識や今のトレンドを把握することができましたが、あっという間に10月になってしまったので、まだ記憶があるうちにまとめます。セミナーで気づいたのが、自分にとってスッと頭に入ってくる方と、右から左へ流れてしまい頭に残らない方がいました。その違いは、”現場で自分自身で汗かいてその内容の研究や開発に携わったか”という点だと思います。それは、研究者であっても、開発者であっても、それぞれの話のリアリティに出ているなぁ、と個人的に思ってしまいました。 

さて、本題です。文章でまとめるには大変難解な内容なのですが、私自身が現時点で捉えている「ディープラーニング」について、特に初心者に向けてサクッと理解したい方のために簡潔にお伝えいたします。

■『ディープラーニング』とは何か
機械学習のアルゴリズムのうち、ニューラルネットワークの1つです。このアルゴリズムは2012年のGoogleの猫で一気にブレイクしたので、新しい技術の様に感じますが、実は昔からあるニューラルネットの方法で、正式には『CNN』畳み込みニューラルネットワークと言います。また、『ディープラーニング』は略して日本語では『深層学習』といいますが、まさに層をいくつも内部に重ねる方式なので、よく言い得ていると思います。

■『ディープラーニング』がなぜ今ブレイクしたのか
実は福島1979で「ネオコグ二トロン」という論文で日本で発表されたのがルーツ。しかし、当時のPCパワーでは今のように有用な仕組みや多層構造を文章レベルでしか実現できず、ブレイクしなかったようです。このモデルは、視覚の神経回路網のモデルに似ており、ゆえに画像認識に最適な学習モデルとして成功しています。

■『ディープラーニング』がなぜ第三のAIブームを引き起こしたのか
これまでのAIブームと違うのは、社会実装されはじめたことです。将棋やチェス、囲碁などのゲーム対戦だけでなく、医療画像の診断、自動運転など、様々な分野での実証実験や取り組みが始まっています。

■『ディープラーニング』のしくみ
出力と正解の誤差が減るように、結合の重みづけをチューニング(パラメーターチューニング)するため沢山の層を持つことが特徴。学習と推論の2つのフェーズを持ち、正解との誤差をフィードバックすることにより、重み付けを学習していくモデルです。

■『ディープラーニング』ができること
・画像認識:コンピュータが出現して以来、初めて可能になった
・運動の習熟:ロボットや機械に習熟した動きができるようになる
・言葉の意味理解:文章の意味が分かるようになり、文章と映像の相互変換ができるようになる

■『ディープラーニング』の活用
「眼」の技術が中心に開発されています。ゆえに、画像処理と機械やロボットの融合を進めることにより、最大の魅力が期待できるといえるでしょう。この「AI + IoT」に今後の大きな成功のカギがあると思います。

■『ディープラーニング』が今後期待される分野
セキュリティ/防犯、監視
自動車/自動運転
農業分野/ロボット収穫
物流・建設分野/物流自動化、自動溶接機械
製造分野/自動化、効率化
介護分野/調理、掃除の自動化

『ディープラーニング』によって、初めて機械が「眼を持った」ということは、今後の産業にどのような影響を与えるか計り知れないほどのインパクトを持ちます。このことを少なくとも知識として把握して、AIと協働する方向へ企業や個人が自身も進化させていくこと、これこそが今の時代に求められているのではないでしょうか。

福岡を中心に企業や自治体、大学等の研究者とのコミュニケーションしてますが、研究のフィールドでは予想以上にディープラーニングの取組が進んでいるなと今実感しています。一方企業においては、ニュースこそ毎日のように新しい情報が流れてきますが、まだまだ九州の現場では実証実験や学習モデルの試行錯誤という印象です。しかし必ずや新たなムーブメントが期待できる分野なので、企業はぜひ若い技術者に思い切って任せてみる決断の時ではないかと思います。

なかなか文章だけでは伝わりにくいかもしれません。これまで私自身が事業開発で関わってきたニューラルネットワークを中心に、『AIがビジネスにもたらす未来』という企業セミナーを始めて、これが思ったよりも高い評価や手応えを感じてます。AIを自社に導入しようと検討されている企業向けに、初心者でも理解しやすい内容にまとめてみました。 こちらも回を重ねるごとに進化させていきたいと思っていますので、聞いてみたいという方はお気軽にお問合せ下さい。

写真は、深層学習の良書と聞いて購入しましたが、技術者向け(-_-;)でした。初心者の方は、やはり松尾豊先生の本あたりがおススメです。

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