明日からの経営に役立つ!会社法を学ぼう Part 12
これまで会社法による株式の単位を変更する方法として、「株式併合」と、その逆の形である「株式分割」について取り上げました。今回は「株式分割」と同様の効果が得られる方法として「株式無償割当て」をご紹介します。
「株式無償割当て」とは、株主に対して無償で新株の割り当てをすることです。「株式分割」と「株式無償割当て」は大変似ていますので、この2つを比較しながらコメントします。 そして、それぞれ目的や得られる効果で、自社にとってベストな方法を活用することをおすすめします。
■決定機関
・株式分割
取締役会設置会社では取締役会、非取締役設置会社では株主総会での普通決議
・株式無償割当て
取締役会設置会社では取締役会、非取締役設置会社では株主総会での普通決議
ただし、定款で別段の定めをすることができる
■効果
・株式分割
同一種類の株式の数が増加する
・株式無償割当て
同一種類、または異なる種類の株式を株主に取得させることができる
■自己株式
・株式分割
分割割合に応じて自己株式の数が増加する
・株式無償割当て
自己株式には株式を割り当てることができない
■自己株式の交付
・株式分割
自己株式を交付することはできない
・株式無償割当て
自己株式を交付することができる
■登記について
・株式分割
変更登記が必要
・株式無償割当て
自己株式を交付する場合は変更登記の必要はないが、新株を発行する場合は変更登記が必要
「株式分割」も「株式無償割当て」も、株主へのインセンティブや謝礼の意味合いがありますが、「株式無償割当て」はより戦略的な手法になりえます。例えば、創業者など特定の株主に対して、黄金株など特別な効力を持つ種類株式を交付することが可能となります。それぞれ会社の状況や株主の意見を聞きながら、上手に活用されることをお勧めします。
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