明日からの経営に役立つ!会社法を学ぼう Part 13
今回より会社法の中でも私が得意とする”エクイティ・ファイナンス”の領域について、コメントしていきます。”エクイティ・ファイナンス”とは、株式の譲渡によって資金を調達する方法のことです。
まず最初は資金調達全般についてですが、株式会社が事業活動を行うためには、資金が必要となりますよね。株式会社の資金調達の方法は、資金の調達先によって「内部資金」「外部資金」に分けられ、また企業が返済義務を負うか否かで、「自己資本」「他人資本」に分類されます。 文章で書くと大変ややこしいので、以下で少しまとめてみます。
■内部資金
①利益の内部留保 → 自己資本
②減価償却 → 自己資本
■外部資金
③株式の発行 → 自己資本
④社債の発行 → 他人資本
⑤借入金 → 他人資本
⑥信用供与 → 他人資本
上記のうち、③「株式の発行」と④「社債の発行」の2つが、会社法で規律されています。本日は③「株式の発行」について、少し詳細にコメントしていきます。
まず、「株式の発行」が行われるのはなぜなのでしょうか?
■理由
・株式の発行の方が、銀行など金融機関からの借り入れよりも、通常安上がりであること
・株式の発行の方が、広く多数の者から資金を集めることができ、結果巨額の資金調達が可能となること
一方で、既存の株主からすると、新たに「株式の発行」をするにはリスクがあります。
■リスク
・自己の持ち株比率が下がる
・発行価格によっては、株価変動のリスクがある
よって、「株式の発行」には、会社法上必要な手続きが規律されています。また、「株式の発行」とは、株式引受人を募集し、引受人から金銭等の払込みを受けてその者が株式を取得する方法で、”第三者割当増資”などと言われることもありますが、実は2つの方法があります。
■「株式の発行」の方法
①新株発行・・・株式引受人を募集することによって、新たに株式を発行すること
②自己株式の処分・・・自己株式を処分すること
この2つの違いは、①新株発行は資本金が増加しますが、②自己株式の処分では、資本金の変化はありません。次回は、「株式の発行」について、具体的な手続きについてコメントします。
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