明日からの経営に役立つ!会社法を学ぼう Part 11

会社法による株式の単位を変更する方法として、前回は「株式併合」を取り上げましたが、 今回は「株式併合」とは逆の形である「株式分割」について、コメントします。

「株式分割」とは、1株を2株に、あるいは2株を3株にというように、既存の株式を細分化して従来よりも多数の株式とすることを言います。「株式分割」は、「株式併合」と同様に会社財産に変動が生じる訳ではありませんし、「株式併合」と違い既存株主の利益に実質的影響がありません。それどころか、ケースによっては、既存株主にとって実質的な利益を生じることもあります。 ですので、「株式分割」の決議は、株主総会の普通決議か、取締役会設置会社では取締役会の決定によって行われます。

では「株式分割」はどのような目的で行われるのでしょうか。
①株式の流動性を高めるため
大幅な株式の分割(1株を1.5株以上に分割するケース)の場合、株式の価格が市場において極めて高いと、株式の流通がされにくくなります。そこで、株式の価格をおさえて、新たな資金調達などを実施しやすくするために、この方法を活用できます。

②既存株主へのインセンティブ
配当可能な利益がある場合、現金で分配せずに資本金に組み入れ、そのうえで既存株主へ新株を分配することが可能です。これを無償交付型の株式分割と言います。

③株主への実質的な利益
「株式分割」は会社財産に変動があるわけではないので、例えば10株を11株に分割した場合、1株の実質的な経済価値は、もとの株式の90.9%に下落するはずです。しかし上場会社のように市場価格のある株式の場合、1株当たり当期純利益の額、配当手金額等を従来通り維持できる自信があって会社は「株式分割」を実施したのであろうと証券市場が理解し、1株の価格はさほど下落しないことが多いのです。そこで、分割によって株主は実質的な利益を得ることが多くなります。

以上「株式分割」についてでした。実は「株式無償割当て」と呼ばれる方法も同じような目的で活用されるのですが、この「株式分割」と明確な違いがあり、それを比較しながら自社にとってベストな方法を選択することができます。 次回は比較しながらご紹介しますね。

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