明日からの経営に役立つ!会社法を学ぼう Part 8

a-21本日は、株主の権利についてコメントします。コーポレートガバナンスの観点から、企業は一体誰のものか、という議論があります。株主か、或いは社員を含む利害関係者全体か、企業のステージや構成によって実態は変わるでしょう。しかし、いづれにしても、経営と所有は分離される方向にあるのが、現在のビジネス全体の流れになるのではないでしょうか。

私個人としては、カリスマ性のあるオーナー株主が経営をリードするということについて、どちらかと言うと賛成派です。一方で、日本においては、そういったベンチャーが生まれにくいビジネス環境にあり、ここ福岡でもベンチャー企業への支援体制は他の地域よりもはるかに進んでいるとは思いますが、有望なベンチャーが次々と生まれている状況に至っているとはあまり感じられません。 しかし、これだけグローバル化が進む中で、今や福岡、東京などと言っている場合ではないですね。 現に私が取り組んでいるプロジェクトのオーナーの方々は、日本だけでなくグローバルな世界の企業を相手にビジネスに取り組んでおられるので、私自身もプロジェクトを通じていろんな刺激を受けています。

さて、前置きが長くなりましたが、株主の権利についてどのようなものがあるのか、会社法の観点からご説明します。まず、大きく分けて、「自益権」と「共益権」に分けられます。「自益権」とは、株主が会社から経済的な利益を受けることを目的とする権利のことです。具体的には、剰余金の配当を受ける権利や、残余財産を分配する権利などが挙げられます。 一方で「共益権」とは、株主が会社の経営に参加することを目的とする権利です。具体的には、株主総会における議決権や、株主総会の決議の取消しを請求する権利などが挙げられます。

まず、「自益権」について、もう少し詳細を見ていきましょう。株式会社は、対外的活動で利益を上げ、それを構成員である株主に分配することを目的として株式会社という形態が存在するので、剰余金の配当を受ける権利と残余財産を分配する権利のいづれも株主に与えないという定款の定めは無効となります。いづれか一方を制限したり優遇したりする形で、種類株式を発行し、定款に定めることはできます。 具体的な活用方法としては、経営に興味のない株主に対して、議決権を制限する代わりに、剰余金の配当に関し優遇するというような方法があります。

次に「共益権」についてですが、「単独株主権」と「少数株主権」に分類することができます。「単独株主権」とは、1株でも保有していれば行使することの出来る権利で、「少数株主権」とは、発行済株式総数や総株主の議決権の一定の割合以上を保有する株主のみが行使できる権利のことを指します。 これらの権利に関して、公開会社においては、保有期間の要件を定めることがあります。具体的には、株主が株式を6か月前から引き続き保有しなければ行使できない、という内容です。この保有期間が設けられているのは、会社を困らせる意図で株式を取得し、その権利を行使するといった濫用的な行為を防ぐためにあります。ですので、非公開会社においては、保有制限は不要となります。

次回は、この「単独株主権」と「少数株主権」について、個別具体的に見ていきます。

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