明日からの経営に役立つ!会社法を学ぼう Part 7

A-10会社の本店には、「株主名簿」と言われる株主とその持株等に関する事項を明らかにするため、株式会社に作成が義務付けられている帳簿があります。株主や会社債権者は、会社の営業時間内であればいつでも、請求の内容を明らかにして、「株主名簿」の閲覧や謄写の請求ができることが会社法で定められています。 なお、親会社の社員も、その権利の行使をするために必要があるときは、裁判所の許可を得れば閲覧、謄写することができます。 ちなみにここで言う社員とは、親会社の株主を指します。

では、株式会社は、これら権利を持つ株主等に閲覧や謄写の請求をされた場合、拒絶することはできないのでしょうか? 実は下記に該当する場合、拒絶事由となり会社は拒否することが可能です。

①請求者がその権利の確保、行使に関する調査以外の目的で請求を行った場合
②請求者が会社の業務も遂行を妨げ、または株主の共同の利益を害する目的で請求を行った場合
③請求者が株主名簿の閲覧・謄写によって知りえた事実を利益を得て第三者に通報するため請求した場合
④過去2年以内に③の行為をした場合
一般的にこれらの事由に該当する例としては、名簿屋へ情報を売るようなケースが考えられるでしょう。

さて、株主の権利を行使するためには、この「株主名簿」に記載されている必要があります。 しかし、株式の譲渡事由の原則からすると、その時点での株主を把握するのは容易ではありません。 そこで、会社は一定の日を基準日として、その時点での「株主名簿」上の株主を、権利行使者として定めることになります。 つまりこの基準日以降に株主になったものは、原則として次の基準日を迎えるまで議決権の行使ができないのですが、会社が認めれば可能となります。 通常基準日は、決算日に合わせて3月31日が多いようです。

株式が譲渡などにより移転した場合は、株式を取得した者は、当該会社に対して、「株式名簿」における名義書き換えを請求することになります。その際に気を付けなければならないのは、原則として譲受人は譲渡人とともに名義書換の請求をしなければなりません。 また譲受人はこの名義書換が完了するまで、株主としての権利を主張することはできません。但し、会社が過失により名義書換をしなかった場合や、正当な理由が無いのに名義書換を拒絶した場合などは、株主であることを会社へ主張できます。

「株主名簿」には、下記の事項が記載されます。
①株主の氏名、名称、および住所
②保有する株主の数、種類
③株式を取得した日
④株券発行会社では株券の番号を記載記録

非公開会社で少数株主の場合は、エクセルなどで作成してそこに代表社印を押印して発行します。 そしてこの「株主名簿」の保管や発行のルールなどは、M&Aや敵対的買収のリスクに対する対策としても、慎重に対応する必要があると思います。

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