明日からの経営に役立つ!会社法を学ぼう Part 14
今回は「株式の発行」について、募集する事項をどのような手続きや方法で決定するのかコメントします。
まず株式の募集にあたり、第三者に割り当てる方法と、既存の株主に割当てを受ける権利を与える方法があります。後述の方法は”株主割当て”といい、既存株主の持ち株比率が維持できるというメリットがあります。もちろん会社と株主との関係が良好で、既存株主が出資比率を維持したい、或いは更に高めたいという意欲がある場合に限られるでしょう。 この”株主割当て”を実行する場合は、株主割当てを行う旨と割り当てられるべき株式の引き受けの申し込み期日を定める必要があります。
さて、株式の発行にあたりまずは募集する内容を決定しなくてはならず、これを募集事項と言います。
■募集事項
①募集株式の数
②募集株式の払込み金額またはその算定方法
③現物出資に関する事項
④出資の履行にかんする事項
⑤資本金および資本準備金に関する事項
次に会社が公開か非公開かによって、意思決定する機関が違ってきます。但し、これには原則と例外があり、それぞれご説明します。
■決定機関
①非公開会社の場合
・第三者割当て/原則は株主総会特別決議、例外は株主総会で募集株式数の上限と払込金額の下限を定めれば、その特別決議によって、取締役もしくは取締役会に委任できる
・株主割当て/原則は株主総会特別決議、例外は定款で規定を置けば、取締役もしくは取締役会に委任できる
②公開会社の場合
・第三者割当て/原則は取締役会決議、例外は、有利発行(安く発行する)の場合は、株主総会特別決議
・株主割当て/原則は取締役会決議
そして、発行する会社と申込人の間の手続きの流れは以下のようになります。
■申込みからの流れ
①会社が申込人に対して、募集事項を通知
②申込人は書面もしくは電磁的方法で会社へ申込み
③会社は申込みに対して割当てをする
④申込人は割当てを受けた株式について株式引受人となる
そして、最後に具体的に発行手続きが効力を発生する条件についてご説明していきます。
■募集株式の効力発生について
①金銭による出資
募集株式の引受人は、払込期日または払込期間内に払込金額の全額の払込みをしなくてはなりません。そして、払込期日もしくは出資の履行があったその日に、募集株式の引受人は株主となります。そして、この払込期日もしくは払込期間内に出資の履行がされない場合は、株主となる権利を当然に失うことになりますので、注意が必要です。
②現物出資
・現物出資を行う引受人は、現物出資財産全部の給付をしなくてはなりません。設立の場合と違い、出資者の限定はされず、公開会社では取締役会で決定することができます。
・引受人が現物出資を行う場合、原則として現物出資財産の価額を調査させるために、裁判所に対し検査役の選任を申し出る必要があります。例外としては、価額が500万円を超えないなど、いくつかの条件によって検査役が不要となることがあります。
以上、募集株式の発行について、主な流れをご説明しました。前提としては、中長期事業計画による資金繰りを踏まえ、資金調達は計画的に余裕を持って実行する必要があると思います。もっと詳しく知りたい場合は、下記ご参照ください。
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