一日6時間勤務が当たり前! スウェーデンのビジネス環境の進化とは。
平均週に30時間労働で、世界一の比率でスタートアップ企業(起業家)を生み出す都市、ストックホルムの活況をご存知ですか? 先日参加した講演の講師がスウェーデン人だったので、メインテーマでなかったのですが、ストックホルムモデルの話がほんの少し出ました。 俄然興味を持ち少しだけ調べてみて驚いたので、ぜひ情報としてシェアしたいと思います。但し、全てインターネット上の情報なので100%正確ではないかもしれませんが。
スウェーデンにはどんな印象をお持ちでしょうか。北欧の代表的な都市で、金髪紺碧の美男美女が多く、税金が高いけど高福祉国家、そんなイメージではないでしょうか。或いは、北欧家具に代表されるように、幾何学的な北欧デザインが有名ですね。
実はスウェーデンは、高い税負担ながら手厚い社会保障、フレキシブルな働き方、新ジャンルでのビジネスの立ち上げが続く市場として今注目を集めているそうです。 国民一人あたりのGDP調査でも常に上位にあがっていることから、そのビジネス環境は参考になることが沢山ありそうです。
メアリー・ウォルショック博士によると、労働者は収入の50%ほどが税金として取られるのですが、実は不平不満は殆ど無いと言います。なぜならば、税金の使途が透明化されており、公共財への投資として使われ、いづれその恩恵が自らに還ってくることがわかっているからだそうです。 この点、日本もアメリカも税金についてはその使途が不透明なので、不満が付きまとうのでしょうね。
スウェーデンは人口わずか900万人の小国ですが、実は世界的な企業を輩出していることでも有名で、代表的な企業としては以下があります。
・H&M 製造小売
・IKEA 家具製造小売
・Spotify 音楽ストリーミング
・ボルボ 自動車メーカー
・エリクソン 通信機器
このようなビジネス環境を支えているのは、どこに理由があるのでしょうか? いくつかのテーマで、日本と大きく違う点を取り上げてみます。
■教育~子供の学習到達度調査では世界トップクラス!
・義務教育から大学、大学院まで原則無償
・幼児教育においてテストなどない
・義務教育においても、少人数制、高い教員のレベル、体験学習重視や早期教育などが特長
・グローバル志向が徹底しており、そのため英語はもちろん、中学生から第二外国語を学び、4~5か国語を喋る人も少なくない
・大学の進学率は50%ほどで実学志向が強く、学位は職業資格とみなされ、卒業後の仕事に直結する傾向が強い
・学生の一人暮らしの生活補助も国が支給する
■仕事~一日6時間、週30時間の労働時間があたりまえ!
・残業する概念がない上、最低5週間の有給休暇取得が法律で義務付けられている
・育休中(44週間以内)の給料は100%支給、父親の育休取得率は約8割
・女性の社会進出度が高く、専業主婦世帯が約2%程度と非常に少ない
・組織の構成員の4割以上を女性に優先的に割り当てる「クオータ制」が定着
・労働組合の組織率が70%と驚くほど高く、同一労働同一賃金が実現されている
■社会保障制度~まさにゆりかごから墓場まで!
・失業者対策として、長年『積極的労働市場政策』を取り、手厚い教育訓練や就職紹介を重視
・失業保険基金には被用者のみならず自営業者も加入可能
・所得比例保険を活用すれば従前賃金の80%が200日間給付される仕組みもある
・保育や教育、子どもの医療、職業訓練、失業保険、育児休暇中の手当など「現役世代向け」保障に50%充てられる
この他にも、政治の透明性が高いことも特徴です。 国民が総じて高い教育を受け、成熟度が高く自治意識が強いとのこと。自らの投票行動が自分たちの生活に密接につながっていることを実感できる社会だから、国政選挙の投票率は80%を超えるらしいです。こうして社会的に様々な積み重ねがあるから、高度で充実した社会が実現されているのでしょうね。
もちろん、スウェーデンにだって、色んな社会的課題はあると思いますが、参考にすべき成功モデルとして、日本の指針の一つになるのではないでしょうか。 そして私はこうやって調べてみて思いました。きっとスウェーデンでは、「過労死」という悲しい言葉が新聞をにぎわすことはないだろうと。
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