創業2年目の経営者へ~資金調達part.4

3月は、確定申告に加えインフルA型でお休みしてしまい、怒涛の月でした。研修や勉強する時間をまともに取れずに、あっという間に月末になってしまいました。という訳で、今回のテーマは、現在の仕事上で経験していることをお伝えしようと思います。

私が経営コンサルとして企業に関わる場合、事業戦略や中期経営計画の策定で入ることが多いのですが、それに伴いキャッシュフローについてもアドバイスします。通常は、エクイティファイナンス(出資)による調達を支援しますが、企業の財務状態により公的融資などデットファイナンス(融資)の支援をすることもあります。ファイナンスはどうしても経営者のリソースが必要になるのですが、デットファイナンスの方が遥かに短期間で決定しますし、今の利率を考えると選択肢としては優先順位が高くなります。

実は上場企業で経営企画をしていた頃は、銀行から役員が出向していたりするので、とりわけ融資について関わっておりませんでした。そして、ベンチャーの経営をしている頃は、ほぼエクイティや営業利益で資金を回していたので、公的融資や銀行への交渉というのは殆ど必要ありませんでした。しかし、福岡でスタートアップ支援をしていると、この公的融資や銀行との交渉は必要だと痛感します。

そして今実感しているのは、タイトルにある創業2年目を過ぎるか否か、これが実に大きな影響があることです。福岡は創業支援が盛んな土地柄であり、福岡市も福岡県も様々な支援メニューを用意しているのですが、実際に動いてみると創業2年目までの企業には大変優しいプログラムが複数用意されていますが、それを超えると、途端に厳しい状況になることです。多少例外が無いだろうかと動いてみたものの、銀行の担当者からも自治体からも、「バッサリ」というか2年できっちり切り分けられるようです。

では、具体的に何が違うのか、下記に挙げてみました。
■創業2年目まで
・事業の将来性に対して優しく審査
・事業計画書も簡易版でいい
・資金使途次第だが、1000万くらいまでなら通りやすい
・利息の利率、保証率も限りなく低い
・公的融資は、日本政策金融公庫や信用保証協会などの選択肢がある
■創業3年目以降
・過去の決算資料の特にBSで判断されがち
・将来の事業計画をしっかり作っても考慮されないこともある
・過去に公的融資で借りていると、ハードルが上がる
・利息や保証率が上がる

もちろん、順調に利益を生み出せているならばそれ程苦労しませんが、通常2年を超えても外部資金が必要だということは、安定的に単月黒字が出せていないケースが多いと思います。そして、そういう状況では銀行のプロパー融資も、更にハードルが上がるというか、ほぼ厳しいと考えた方が良さそうです。

通常会社を設立して3年くらいは、事業を育てることに精一杯で、将来のCFまでなかなか頭が回らないかも知れません。しかし、エクイティで調達した場合でも、デットファイナンスで調達しやすい環境にあるので、今の利息を考えると将来のCFを見据えてデットで調達すれば、キャッシュフローに余裕のある経営ができるので、攻めの戦略も立てやすくなります。

最後にデットファイナンスにおいて、エクイティとの大きな違いは、PLよりもBS(貸借対照表)を徹底的に重視されるということです。おそらく、損益計算書が3割、貸借対照表7割くらいの比率で審査するようです。 また原価や粗利率に関しては、2期以上のトレンドを見るようです。 もし創業間もない企業ならば、3年を超えないタイミングで、将来のキャッシュフローを見据えデットファイナンスのアクションを起こすことを検討されてはいかがでしょう。

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